会社の破産後の代表者の生活(就職・再度の事業等)

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2020年11月30日

 会社の自己破産を検討される代表者さんが、今後の生活をどうしていくかは、皆さん気にされるところです。

1 代表者も自己破産する方が多い

 会社が破産する場合は、代表者が連帯保証人になっていることがほとんどです。
 そこで、連帯保証債務を処理する必要がでてきますが、多くの代表者さんは自己破産を選択されます。
 その理由は、収入がなくなると今後の返済の目途が立たないか、個人資産を会社に投じており残したい財産もわずかであることが多いためです。

2 自己破産しても、破産開始決定後の収入は自由に使える

 代表者が自己破産をしても、代表者の破産手続開始決定後に得た収入は、今後の生活のために基本的に自由に使えます。
 ですから、代表者さんの破産後の生活としては、ご高齢の方であれば引退されて年金で生活される方もいらっしゃいますし、就職したり再び事業をされている方も多いです。

3 自己破産しても、基本的に就職は自由

 会社破産の相談に弁護士が乗る中で、いつから就職や事業をしてよいかという質問をよくいただきます。
 基本的に、就職は会社の廃業後であればいつやってもよいでしょう。
 破産管財人との面談や裁判所に行く債権者集会で、数カ月に1回は平日に休みを取る必要が生じる点と、警備員・保険外交員等資格の制限がある点は注意が必要ですが、今後の生活を考え、できるだけ早く就職されるのがよいでしょう。

4 自己破産しても、事業をすることはできるが、注意点がある

 自己破産すると、会社の取締役は一旦退任することになりますが、再度取締役になることは自由です。
 そこで、会社を廃業後早々に、個人事業者(フリーランス等)や別の会社の役員になる方もいらっしゃいます。
 ただ、新たな借入や後払いはほぼできないですし、破産した会社の事業と同内容の場合等、破産した会社の債権者や破産管財人が新しい会社に請求できることもありますので、事業の方法には十分注意しなければなりません。

5 代表者の経営者保証ガイドライン、個人再生、任意整理もある

 会社が自己破産しても、代表者が必ず自己破産しなければならないわけではありません。
 経営者保証ガイドラインを使ったり、任意整理という債権者との話し合いで、全債権者が同意すれば、自己破産する場合より、多くの個人資産を残せたり、クレジットカードの一括払い程度であれば利用できる可能性もあります。
 また、すぐに一定の収入が得られて毎月一定程度返済できるなら、個人再生という裁判所に申請して借金を減額してもらう手続きを選択する方もいらっしゃいます。

6 まとめ

 会社が自己破産することは、代表者にとっては、新たな出発の第一歩です。
 今後の生活も含めて、会社の破産に詳しい弁護士におたずねください。

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